盛岡東大通商店街
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■ビックコミック24号(2010.12.25)
前号に続き、2010年12月10日発売、ビックコミック23号、連載コラム「太田和彦のイケイケ居酒屋」第66回「盛岡・櫻山横町の巻二」で、当商店街が紹介された記事です






太田和彦(おおたかずひこ)
昭和21年生まれ。
1000軒以上の居酒屋を訪問。
最新刊「月の下のカウンター」(本の雑誌社)は、初のエッセイ。


〇〇八年に盛岡て作られたパンフレット「櫻山人情商店街」(発行入・高橋司)ぱまことに充実している。襟を正し「櫻山神社由緒」から始まる全四〇ページは、隣接する東大通も含めた詳細な全俯瞰図に、全店紹介は一軒ごとに店内と主人の顔写真・コメントつき。必ず入る「趣味」は、マラソン、サッカ−、三角べース軒球、花の絵、客とのキャンプ、太宰治、ター、カラオケ、家庭薬園、沖縄の海、飲み歩き、と多彩に人柄をしのばせて楽しい。さらに男女某君の写真入り「櫻山界隈私のおすすめコース」「私が櫻山を好きな理由」もいくつか載る。その一つ。女性の方の意見を引用させていただく。
<櫻地には、よその地域にないような、強い「連帯感」があります。この「連帯感」は、境内の中に商店街があることに対する神社への感謝の気持ちと、密集した空間で長年苦楽を共にしてきた歴史によって培われたきたのだと思います。最近では、そこに若者たちもどんどん仲田入りするようになりました。今、櫻山は、新しいパワーと、古くからのこの土地に対する思いとが融合し、これまでにないエネルギーが生まれています。>
 まことにその通りだ。この名パンフレットの復刻と、町のオアシスを無くする市の暴挙、櫻山横丁総撤去計画の中止を切に願う。

て今日は初めてのところに入ってみよう。階段を上がった二階の「なにわ櫻山店」は開店昭和四二年。市内にあった別店はなくなり、ここだけになった。先代も二代目主人も大阪生まれ。「私は盛岡よ」と言う奥さんはとても愛想がよく気持ちをやわらげる。
 カウンターの<東北新幹線 東京−青森間全線開通記念 サッポロ・東北ホップ100%生>の缶ビール写真は、黒地に緑のホップと金の星がきれいだ。<キリン一番搾り・とれたてホップ/岩手県遠野産ホップ使用>もある。
とちらも若い苦味がよくきき、甘い香りが残ってたいへんおいしい。

板の本日のおすすめは、鴨つくね焼、イカ一夜干し、生ラム塩焼き、ねば豆腐、津志田芋のネギおかか和え三五〇円、これにしよう。
 盛岡の秋の味覚・竿の子(里芋)の二子芋。津志田芋は有名だ。
皮のままで茹でて、皮から絞り出したのにネギとオカカが素朴によく合う。
 当店オリジナル、ホヤ・ウ二・コノワタの「三宝漬」はガラスの盃にオレシジ色が濡れてきれいに光る。かねがねホヤとコノワタの塩辛「莫久来」
(ばくらい)こそ日本酒珍味の最高峰と断じているが、このウニ入りはスーパー莫久来と言えよう。
 「似た名前のがあったよね」
 「釜石の海宝漬、あれはアワビ,イクラ、メカブ」
 台所から主人が答える。
三陸のアワビとウニのお澄まし「いちご煮」など、東北は豊かな海産珍味の宝庫だ。地酒「鷲の尾」がうまい。

階の店は広々として、長いL字カウンターに囲まれた畳の小上がり間はまことに魅力的だ。
 
「いつも、あそこに布団ひいて寝たいつて思ってんだ」
 常連二人組に奥さんが「座布団ならお貸しします」と笑う。おいらも寝てみたい。いいなあ、このくつろげる雰囲気。さて勘定と御輿をあげると主人の声が聞こえた。
 「あっ、蒸しアワビ忘れてた!」
 仕込んだのを忘れていたらしい。食べたかったなーと一入言をもらすと、黙って切れ端を一つ渡してくれた。ごちそうさまでした。



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